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中国人の遺産相続手続き

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1.中国人の遺産相続手続きの特徴

 中国人の遺産の相続では、原則として「動産については被相続人の住所地の法律を、不動産については、不動産所在地の法律を適用する」と規定されています(中国民法通則第149条)。   

 ですから、在日中国人の銀行預金の相続の場合、日本の法律が適用され、在日中国人の在日不動産の相続が起こった場合、上記の規定により在日中国人には日本の相続法が適用されます。

 ただし、中国人の場合、遺言書の作成や遺産分割協議書の作成には中国の相続分や法定相続人を考慮する必要があります。

  また、中国には日本の戸籍制度に似た制度として、戸口簿の制度がありますが、戸口簿では被相続人と相続人との関係を証明するためには十分でないため、相続登記や遺産分割協議書作成、銀行口座からの預金の引き出しの際等の相続証明が複雑になることもあります。

2.中国人の遺産相続で適用される法律


1.で述べたように、在日中国人の遺産相続で適用される法律については、銀行預金の相続については、被相続人の死亡時の住所地である日本の法律が適用されます。ただし、不動産の法定相続は不動産がある国の法律が適用されます。


つまり、在日中国人が亡くなった場合、法律の適用関係は以下のようになります。

①日本にある不動産、動産(銀行預金等):日本の法律

②中国にある動産:日本の法律

③中国にある不動産:中国の法律

3.中国人の相続の相続割合、相続分について


中国の相続法の基本原則では、日本の相続法のように、画一的に相続人の分割割合を規定しているわけではありません。

中国の相続法の基本原則では、扶養義務の履行、自分で生活していける能力の有無等が遺産分割に大きな影響を及ぼす場合があります。

また基本的には、各相続人の相続割合は同等であり、日本とは異なり、遺留分という制度もありません。

法定相続人の順位は、①配偶者・子・父母(子の配偶者が含まれる場合もある)②兄弟姉妹、祖父母の順位となっており、日本と大きく異なります。


また、日本法では、子の配偶者に相続権はありませんが、義父母の扶養をしていたような場合は、相続人となる場合もあります。同様に、扶養関係にあった継子も、実子と同じく相続人となる場合があります。

いずれにしても、中国人の相続の場合、画一的に決するわけではなく、様々な要素が絡むと考えておいたほうがよいでしょう。

4、中国人の代襲相続について


日本の相続法では、相続人である兄弟姉妹が亡くなった場合、その子である甥姪に代襲相続権があります。


しかし、中国相続法では、代襲相続は子が亡くなっていた場合に限定されます。つまり孫だけが代襲相続人となります。

5、中国人の作成した遺言書は有効か


 中国人の作成した遺言書は作成したとき、または死亡したときの住所のある国、及び中国の法律に準拠していれば成立します。

 その効力に関しても同様に、遺言書は作成したとき、または死亡したときの住所のある国、及び中国の法律に準拠していれば有効です。

 遺言書については法律上できるだけ有効になるような配慮がなされているので、在日中国人の場合、遺言書の作成を希望する場合は、中国の公証処等で作成するか、あるいは、日本で公正証書を作成されれば通常は有効になります。

 ただし、中国法の場合に注意しないといけないのは、自分で生活していく能力のない相続人を排除するような遺言は、無効とされる可能性があることです。

 この点は、日本と異なりますので、注意が必要です。

6.在日中国人が中国にある不動産を相続する場合


 在日中国人の場合によく問題になるのが、中国にある不動産です。中国の不動産の相続手続きについては中国に一時帰国して行う必要がありますが、仕事などでなかなか時間が取れないといったことも多いです。

 また、日本では土地も家も個人所有が可能ですが、中国の制度では家屋に関しては個人所有が可能であり、相続財産となりますが、土地は国家、集団の所有物であり、個人は使用権があるだけです。

 ですから、中国に帰国する意思の無い方が、将来において相続人となる場合、事前に対処方法を検討しておかないと、後々中国での相続手続きや不動産の管理が面倒になります。

7.在日中国人の相続手続きの必要書類

では、上記のような在日中国人の銀行預金の相続手続きや不動産の相続手続きの必要書類はどのようになるのでしょうか。

具体的には、以下のようになります。

ただし、帰化の有無、家族関係、過去に手続きした場所等、様々な要素により必要な書類は変動しますので、実際に必要な書類は個別のケースにより異なります。

下記必要書類は、あくまで例とお考えください。

(中国人の相続手続きの必要書類)

①相続人の確定のための公証書

中国国内の公証処の公証人が作成します。

内容としては、 父母の氏名、本人の生年月日、続柄、出生地等の情報、本人が日本の配偶者と婚姻するまで独身であったこと、他に相続人がいないことなどを証明するものであることが必要です。証明事項が漏れていることも多いので、専門家と相談しつつすすめていくのがよいと思われます。

②死亡証明書

例えば、下記のような証明書です。

・ 死亡の記載がある中国大使館が発行する死亡証明書、
・死亡の記載がある外国人登録原票の写し
・病院の死亡診断書

③遺産分割協議書

相続人全員が記名し、実印で押印することが必要です。相続人全員の印鑑証明書も必要です。

④相続人の出生証明書

相続人が中国籍の場合は、戸籍謄本がありませんので、出生公証書の取得が必要です。

⑤結婚公証書

配偶者が中国籍の場合は、戸籍謄本がありませんので、結婚公証書の取得が必要です。

6、住民票又は外国人登録原票の写し

相続人の住所を確認するために取得します。


7、その他資料

帰化の有無、家族関係、過去に手続きした場所等、様々な要素により必要な書類は変動しますので、実際に必要な書類は個別のケースにより異なります。

8.中国人の相続証明書の申請について

中国人の相続証明書(継承証明書)の申請には、以下の条件が必要です。

①原則として被相続人及び相続人の代表者が日本生まれであること

②中国国籍であること

③相続(遺産継承)目的の申請であること

④例外的に申請可能な場合

a.被相続人が日本出生もしくは、中日国交正常化(1972年)以前に来日していること。
b. 相続人内で一名でも日本国出生の中国籍の方がいること。


1. 申請書      
2.誓約書                   
3.公証申請書                 
4. 申請者本人のパスポートコピー
5. 被相続人の死亡届記載事項証明書 
6. 被相続人のパスポート (ない場合は出生地を示す書類)
7. 相続人全員の住民票 
8. 相続人全員の印鑑登録証明書  
9. 被相続人と相続人との関係を示す書類 

 ※ 相続人が被相続人の子であり、中国国籍の場合は出生届記載事項証明書等

 ※ 日本籍の相続人の方は戸籍謄本

 ※ 被相続人の配偶者の方は婚姻届記載事項証明書

10. 相続人が被相続人より先に死亡している場合は死亡届記載事項証明書

11. 相続人が海外在住の場合はサイン証明、パスポートコピー等 
12. 遺言相続の場合は遺言書原本(但し、証明後返却)


※ 場合により外国人登録原票の開示請求が必要な場合がございます。また、領事館よりその他追加書類を要求されるケースもございます。

上記のように、日本で中国人の相続証明書を条件は結構厳しいため、多くの場合は、中国に行って相続証明書を作成することになります。

9.中国人の遺産相続手続きサポート費用

いずれにしても、中国人の方が相続や遺言をする場合は、日本人のみの相続の場合とは異なった点が多々あり、中国人の方だけで手続きをするのは、言語面、法律面で困難なことが多いのではないでしょうか。

そこで、当事務所では、相続にお困りの中国人の方のため、相続手続きのサポートを行っております。

過去のサポート事例としては、次のようなものがあります。

①中国人が日本に相続財産を残して死亡した場合

②中国人が中国に相続財産を残して死亡した場合

③日本人が中国に相続財産を残して死亡した場合

上記のように、中国に関連する相続につき、当事務所は全力でサポートいたします。

在日中国人の方で相続、遺言や、遺産分割でお悩みの場合はぜひお気軽にご相談下さい。

10万円~(※個別見積もり)

(※中国人が日本の銀行に預金口座を残して亡くなった場合、日本人が中国に銀行預金口座を残して亡くなった場合等、様々なパターンがありますので、個別見積もりとなります。)

対応可能な銀行(中国国内)中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国交通銀行、中信招商銀行 、HSBC中国(上海)等。

初回相談費用は30分5000円/税別となります。電話または事務所での相談が可能です。

電話、来社ともに相談は予約制となっておりますので、まずは、下記よりメールにてご予約をよろしくお願いいたします。

                      

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