シンガポール相続手続代行サービス
<シンガポール相続手続き代行サービス>
1.シンガポールの相続手続きと日本の相続手続きの違い
日本とシンガポールでは、相続法が大きく異なります。
まず、日本では相続は被相続人が直接相続し、財産を包括承継する形になります。
一方、シンガポールではコモンロー法制を採用しているため、人が死ぬと相続財団が形成されます。つまり、一旦故人の財産は持ち主がいなくなり、権利者不在の財団として、宙に浮く形になります。
そのため、シンガポール相続の手続きは日本のそれと大きく異なります。
日本では故人の財産(遺産)の分割に関して相続人全員が合意すれば(実際には遺産分割協議書という形で合意内容を書面化することが多いです)、裁判所の関与なしに遺産分割を行うこともできます。ですから、遺産分割協議書や印鑑証明書、戸籍等必要な書類を銀行に提出するだけで預金の引き出しが可能になります。
しかし、シンガポールの相続手続きは、そんなに簡単ではありません。
シンガポールの相続手続きではたとえ相続人全員が合意していたとしても原則としてはシンガポールの弁護士を通じ裁判所に相続の手続きを申立て、後日裁判所から選任された相続財産の管理人が預金や不動産などのプラスの資産や債務などのマイナスの財産を整理し、そのうえで相続人に分配する、という法制度が採用されています。ですから、一旦相続が発生してしまったらシンガポールの弁護士費用、その他裁判にかかる実費で、相続人が相続財産を受け取るまでにかなりの時間と費用を要してしまうのです。
2.シンガポールの相続裁判手続きの概要
シンガポールで相続裁判をする場合、さまざまな要素により管轄裁判所が異なります。
①遺産の所在地と種類
シンガポールでは遺産がシンガポールのものなのかどうか、遺産が不動産なのか、銀行預金なのか、ファンドや株式なのか、等によって管轄が異なります。
また遺産が不動産の場合、権利関係(ジョイントテナンシーかどうか等)の確認も必要です。
②死亡時点での遺産の評価額
遺産の評価額が50,000シンガポールドル未満か、50,000シンガポールドル以上、3Milionシンガポールドル未満か、3Milionシンガポールドル以上かによって手続が異なります。
③メインの相続審判国
複数の国にまたがる財産を保有している場合、どの国の裁判をメインの相続審判とするかを考える必要があります。
3.準拠法の確定ーどの国の法律に従って財産を分配するか
裁判の管轄が確定できたら、次は相続準拠法を考えます。シンガポールの相続手続においては、「ドミサイル」という概念が重要です。
ドミサイルとは、日本の住所とはその概念が大きく異なり、一定の住所を置き、そこを離れても帰来する意思を持っている場所、つまり居住の意思(や事実)と永住の意思(や事実)が成立要件となります。
したがって、ドミサイルがシンガポールにあればシンガポール法、ドミサイルが日本にあれば日本法に基づき、相続分や相続人が決定されます。
ただ、日本人の場合、特殊なケースを除いては、ドミサイルは日本にあることが多いため、ドミサイルがシンガポールにあると認定されることはあまりない、というのが実情です。
4.シンガポール不動産の相続手続きについて
シンガポール不動産の相続手続きでは、原則として裁判所を通じて手続することが必要です。
但し、シンガポール不動産が相続人と被相続人のJoint Tenancyの場合は、被相続人の死亡により不動産の持分は相続人に移転します。
5.シンガポールのCPF(Central Provident Fund)の相続手続きについて
シンガポールには、CPF(Central Provident Fund)という制度があります。これはシンガポール政府により年金資産として運用されており、政府管掌強制的年金預金制度のようなものです。
この口座はシンガポール国籍者・永住者にしか保有を認められておりません。
このCPF(Central Provident Fund)の相続手続についても、原則としては裁判所を通じた相続手続きが必要です。
但し、生前に受取人のNomination(指名)があれば、相続されません。
6.シンガポールの銀行預金口座の相続手続
では、シンガポールの銀行に開いた銀行口座のみを残し、日本人が亡くなった場合の相続手続きはどのように行えばいいでしょうか?
この場合、銀行預金の額が5万SGD未満か、5万SGD以上、3MilionSGD未満か、3MilionSDG以上かによって手続の内容が異なりますので、まずは正確な遺産の額を知ることが必要です。
そして、HSBCシンガポールやDBS等のシンガポールの銀行から相続人による預金の引き出しができるようにするには、シンガポール法に則った面倒な手続が原則として必要となります。
但し、わずかな資産のために相続財産管理人を定めるのは、コストや手間を考慮すれば非常に大変です。
このため特に、日本人が銀行に少額の預金を有しているというだけの場合には、事実上、日本法に基づいて相続財産管理人の選任を行わずに処理することもあります。
具体的には、相続財産の額が5万SGD未満の場合、相続手続はかなり簡易化されておりますが、それでも、シンガポールの相続手続をある程度理解しており、かつ、英語がかなり堪能でないと、手続きは難しいと思います。
すなわち、銀行はシンガポールの手続法に則った手続を要求するため、まずはシンガポールにおいて相続財産管理人を選任し、その管理人が日本法に従って遺産を分配することになります。
そして、多くの場合相続財産管理人となるのはシンガポールの弁護士です。その場合、日本法に従った分配を行うためには、相続人が誰かや相続財産の分配の仕方について日本法がどのように定めているか等についての「専門家の意見書」が必要となります。
この日本法が定める分け方に従って、ただし債権と債務を相続財産管理人のもとで整理するという手続きについての点はシンガポールの法制度を用いて、相続財産についての処理を行うことになります。
シンガポールにある財産の相続が起こった場合、
「シンガポールの相続手続きなんて法律も英語もわからないし無理だからあきらめてしまおう・・・」
とか、
「シンガポールでの相続手続きは、遺産よりも多くの莫大な弁護士費用がかかるんじゃないか・・・」
と疑心暗鬼になり、せっかく相続できる財産を相続せず諦めてしまっている方は本当に多いですが、その方々の多くが、専門家に依頼すれば、遺産の大半を相続できるケースなのです。
きちんと手続きさえすれば、きちんと元が取れますし、受け取れるはずの財産を思い込みで放棄してしまうなんて、本当にもったいないと思います。
当事務所ではシンガポールの弁護士と協力し、適正な価格でシンガポールの海外資産相続手続きのためのサポートを行なっておりますので、シンガポールの相続手続きでお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。
7.シンガポール相続手続きサービスの実績
①夫がシンガポールに不動産を保有し、シンガポールで死亡。そのシンガポールの不動産の相続手続きをご依頼
→シンガポールの弁護士と当事務所のサポートにより、約6か月で相続手続きを完了
②父がシンガポールのDBS銀行に預金を残して日本で死亡。そのDBS銀行の預金の相続手続きをご依頼
→シンガポールの弁護士と当事務所のサポートにより、約7か月で相続手続きを完了
③妻がシンガポール人で、シンガポールのCPF(年金積立類似のもの)を保有したまま死亡。夫からの依頼で、シンガポールCPFの相続手続きをご依頼
→複雑なケースであったが、約1年でシンガポールのCPFの相続手続きを完了
8.シンガポール相続手続きサービスの費用・報酬
(※税別、あくまで参考報酬であり、難易度により増減します)
ⅰシンガポール相続に関する意見書作成サービス:¥100,000~¥200,000
ⅱシンガポール相続手続きお任せサポート:¥300,000~(※個別見積り)
※シンガポールの弁護士の費用は別途となります。
ⅲシンガポール簡易プロベート手続きサポート:¥200,000
※簡易プロベート手続きで足りる場合は、シンガポール弁護士の報酬は必要ありませんので、通常の相続手続きと比べ、低額な費用で手続きが可能です。
シンガポールの銀行口座相続・不動産相続でお困りの方は、下記よりお気軽にご相談ください。